ポリス、アジェクティヴ（英題）
Politist, adjectiv / Police, Adjective

人間としての“良心”と警官としての“義務”の葛藤
革命、EU加盟、ルーマニア社会は本当に変わったのか

　コルネリウ・ポルンボユ監督にとって２作目の長編になる『ポリス、アジェクティヴ（英題）』（09）では、デビュー作の『ブカレストの東 12時8分（英題）』（06）とは異なるアプローチで、89年の革命から現在に至るまでのあいだに、果たしてルーマニア社会が本当に変わったのかが問われる。

　主人公の若い刑事クリスティは、密告を手がかりにマリファナを吸っている学生を尾行しているが、彼のなかには戸惑いがある。新婚旅行でプラハを訪れ、平然とマリファナを吸っている人を目にした彼は、EUに加盟したルーマニアも近いうちにそれに倣い、規制が緩められるはずだと考える。だからいま学生を逮捕して彼の未来を奪うことにためらいを覚える。だが、それを知った上司は社会主義時代の官僚的な考え方を剥き出しにして、主人公を呪縛していく。

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